私は、正直クライアントの気持ちを100%理解できるとは思っていません。しかし、できる限り話を傾聴
して、少しでも気持ちを理解しようとすることが私の約割だと思っています。それは、クライアントの話すこと
に同感できなくても共感するということです。
「同感」は、相手の主張や感情が、自分の価値観と同じ場合に、相手と同じように感じたり理解する
ことです。一方「共感」は、相手の主張や感情が自分の価値観と違っても、相手と同じように感じたり理
解することです。
私は、カウンセリング中は自分の価値観を脇に置いておいて、クライアントに共感することを心がけていま
す。「コーチは自分の言うことを理解してくれている」と、クライアントが安心した時に初めて信頼関係が築か
れます。そして、クライアントの自己防衛が解かれ、カウンセラーに自己開示ができ、本音で話すことができ
るのです。
人は、話すことによって自分が何を考えているのか、相手に伝えながら同時に自分の耳で、考えを聞い
ています。そして、考えが整理され、問題解決方法を自分で気づいて見つけることができるのです。このこ
とを専門用語でオートクラインと言います。
カウンセラーは、クライアントの話を傾聴し効果的な質問をして、クライアントに気づきを与えるためのスキ
ルを学んでいます。話すことは単に相手に自分の考えや情報を伝えるだけではありません。
人間は自分が考えていることを整理するためにも、無意識的に話を聞いてくれる人を求めています。
「私がクライアントのお悩み全て解決します!」と言うのは簡単で、聞こえもいいでしょう。しかし、「私がク
ライアントに問題解決方法を与えることはできい」と言うのは、私が与える問題解決方法は、私の経験
や価値観に基づいたものであり、クライアントにとって納得できるもではないからです。(私の価値観を押し付
けることは説得になってしまいます)
ですから私は、納得して、クライアントが自ら問題解決方法を見つけることができるように、クライアントの気
持ちを少しでも共感できるカウンセラーでありたいのです。
|